畳は、畳床・畳表・畳縁から作られます。
私達畳職人が、お客様のご注文の部屋の寸法に合わせ、綿密な計算を
した上で畳床を裁断し、畳表を張って、畳縁を施して縫い造り上げて
ゆきます。
外観から全く見えないのが畳床です。消費者は畳床が何であるかを知らずに使用している場合が多
いようです。中身はいろいろなのです。大きく分けると昔からのわら床、わらとポリスチレンフォー
ムまたはインシュレーションファイバーボードなどと組み合わせたサンドウィチ床、わらを全く使わ
ない床(脱ワラ床)のタイプに分かれます。
わら床は、良く乾燥させた稲わらを層に縦横に積んで圧縮し、縫い上げて作られます。わらの質、
配列の仕方、均等に圧縮してあるかどうか、縫い目の間隔、裏の素材などによって品質の良さが決ま
ります。たくさんのわらを使い、配列層を多くし、縫い目の間隔を細かくしたものほど高級品とされ
裏の素材にシュロを編んだシュロ裏や、い草で編んだござ(丹波裏)を使ったものが最高級品とされ
ています。わら床の長所は感触が良い、表替えを繰り返しても丈夫であること、復元力に富み、耐久
性にも優れているてんです。また、何よりも天然素材であり、吸放性の機能を持ち、室内の温度調整
役をしていることが最近の研究により解ってきました。
化学床が考案されたのは1963年ごろです。一時は粗悪品が出回り、ユーザーより不評を買いましたが
JIS規格が制定されてからは品質も安定し、今では畳床生産量の7〜8割程度占めていると言われてい
ます。化学床の主な素材はポリスチレン樹脂と発泡剤からなるポリスチレンホームと木材繊維を原料と
するインシュレーションファイバーボードで、わら層で上下をはさみわらサンド床として使用します。
前者は断熱性に優れ、水を吸収しない、軽い、施工しやすいと言う長所をもっています。後者は吸放性
と断熱性に優れ、耐久力があるといわれていますす。
い草は湿地に自生する多年生植物です。現在は熊本、福岡、高知、岡山などで栽培されています。
(中でも広島産の備後表は、最高級品とされている)植付けは12月真冬、稲刈りは7月の真夏に行わ
れます。そして染土と呼ばれる特殊な粘土質の泥の中につけて染め、乾燥し選別したものが畳表の原
料となります。一枚の畳表を折るのには、およそ4000本のい草が使われ、その質、長さ、色調が畳表
の品質を決める重要な要素になっています。良い草の条件は、茎に変色や枯れ込み、折れや傷、羅病
などがなく根元から先端まで充実していることと、1本1本の太さや色がそろっていることです。そし
て一般的には長い草を使ったもの程、品質の良い畳表となります。これは根と、先端を除いた良い部
分だけが多く得られるためであり、上級品となります。
畳の発達は畳縁によって座る人の地位や、身分を規制するために進歩発展してきたと言われてきま
した。身分により畳縁の使用規定が「海人藻芥」(あまのもくず)〔応永27年(1420)〕に記されて
います。畳縁は朝鮮から、仏教の伝来と共に日本に入ってきた、さまざまな美術工芸品の一つである
繧繝錦(うんげんにしき)という織物を皇室用の畳に用いたのが始まりとされています。種類として
は、繧繝縁、(うんげんべり)高麗縁(こうらいべり)、光輝縁(こうきべり)、高宮縁(たかみや
べり)などに大別されます。繧繝縁は本来錦織(にしきおり)でしたが、今でもその模様が受け継が
れています。現在では化学繊維の素材のものも有り、神社の圧畳(あつだたみ)や有職八重畳(ゆう
しょくやえだたみ)などに使用されています。畳縁の素材には、絹・麻・木綿・化学繊維などがあり
これらを用いて、地紋を織り込んだ紋縁、模様を織り込んだ柄縁、単色の無地縁などが作られます。
高麗縁は絹・麻・木綿などの素材が有り、大小の地紋を織り込んだもので、寺社や床の間に用いられ
ています。光輝縁は、綿糸に光沢加工したものや、化学繊維を使ったもので、耐磨耗性に優れ、最も
ポピュラーな畳縁になっています。高宮縁は、滋賀県高宮で作られたもので、麻の細糸で織られ、紺
や茶色(高級品)のものは主として茶室に用いられます。